はじめまして、藤沢陽介といいます。
健康食品と食品の業界紙で、12年ほど記者をやっていました。
今はフリーで、通販カタログの原稿を書いたり、メーカーの販促物を校正したりしています。
原料の展示会と工場取材ばかり回っていたので、商品を手に取るとまず裏面の原材料欄を読む癖がつきました。
その私が、知り合いからいちばんよく受ける相談がこれです。
「粉末の青汁が続かなかったから、ペットボトルのタイプに替えようと思う。どう思う?」
先に言っておくと、替えれば続くという単純な話ではありません。
ただ、この2つは思っている以上に性格が違う商品です。
数のうえでは、粉末が圧倒的に多い
まず市場の実態を確認しておきます。
マイボイスコムが2024年8月に9,267人を対象に行った青汁に関するアンケート調査によると、直近1年間に利用したタイプは「粉末タイプ」が18.1%、「ストレートタイプ」が5.2%でした。
今後利用したいタイプでも、粉末が75.1%、ストレートが29.6%です(いずれも複数回答)。
3倍以上の差がついています。
しかも同じ調査では、毎日利用する層ほど粉末の比率が高いとされています。
ただ、この数字を「粉末のほうが続く証拠」と読むのは早いです。
ドラッグストアの棚に粉末が多く並んでいるから、粉末が選ばれている。
その順番で説明がついてしまう数字でもあります。
同じ調査では、ストレートタイプの利用意向は若年層で高いとも報告されています。
市場の主流と、あなたに合うかどうかは別の話です。
続かない原因は、味より工程数のことが多い
粉末が続かなかった人に話を聞くと、味が理由の人は意外と少数です。
多いのは「面倒になった」という理由でした。
粉末を1杯飲むまでにやることを分解すると、コップを出す、スティックを切る、水を注ぐ、混ぜる、飲んだ後に洗う、の5つです。
ペットボトルはキャップをひねって飲む、それだけです。
朝の7時台にこの差は効きます。
1回あたり1分あるかないかの差ですが、続くかどうかを決めているのは、たいていこういう1分のほうです。
もっとも、液体には液体のコストがあります。
1本ずつかさばるので買い置きが重く、置き場所も取ります。
1杯あたりの単価も、粉末より高くなりやすい。
賞味期限14か月と36か月の差は、どこから来るのか
具体的な数字で見たほうが早いので、同じメーカーの同じブランドで比べてみます。
日本薬健の「金の青汁 純国産大麦若葉100%粉末」は、賞味期限が製造から36か月です。
同ブランドのペットボトルタイプ「純国産大麦若葉100% PET 235ml」は、製造から14か月と表示されています。
倍以上の開きがありますが、これは品質の優劣ではありません。
水分を含んでいる食品と、水分を抜いた粉末とでは、保存性の前提がそもそも違うからです。
原材料欄にも同じ差が出ます。
消費者庁の食品表示ガイドにある通り、加工食品の原材料は割合の高いものから順に表示されます。
粉末のほうは「大麦若葉粉末(九州産)」の1行だけ。
ペットボトルのほうは、大麦若葉ペースト、大麦若葉末、シトラスファイバー、乳酸菌末と続きます。
液体は、飲み物として成立させるための設計がどうしても必要になる。
粉末は素材をそのまま乾かして詰めればいい。
表示を並べると、その違いが見えます。
粉末と液体の両方を出しているメーカーは実はそう多くないので、比較の材料として日本薬健の青汁ブランドの公式サイトは一度見ておくと分かりやすいと思います。
結局、続くのは置き場所が決まっているほう
私自身は、粉末を職場の引き出しに置いています。
コーヒーを淹れるついでに1杯作る、という手順に組み込んでしまえば、工程数はさほど問題になりません。
逆に、家に帰ってから台所で作ろうとした時期は、見事に続きませんでした。
商品を替えたのではなく、置き場所を替えただけで結果が変わっています。
そもそも青汁を飲む理由の多くは野菜不足の補いです。
厚生労働省の令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要によると、20歳以上の野菜摂取量の平均は1日258.7gで、目標の350gには90gほど届いていません。
その90gを埋める手段が、続かなければ意味がない。
だから選ぶ基準は「どちらが優れているか」ではなく、「自分の生活動線のどこに置けるか」です。
まとめ
粉末と液体、どちらが続くかに一般解はありません。
決め手になるのは商品の性能ではなく、飲む場面を先に決められるかどうかでした。
自宅で毎日決まった時間に飲めるなら粉末が有利です。
外出が多く、決まった時間を作れないなら液体のほうが現実的でしょう。
私のように、家では粉末、移動の日はペットボトルと使い分ける手もあります。
どちらか一方を選ばなければいけない、という前提を外すと、案外あっさり続くようになります。